朧気。 ~私が四兄姉に入った理由(わけ)~【椿編】

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~私が四兄姉に入った理由(わけ)~【椿編】 

これは私が、四兄姉になる前のお話です。
--------------------壱、母親の託宣

燕と共に生まれ、同じ里で育った女の子がいた。
名は、椿。
彼女は弟の燕とは対照的に母親に似て、家事も裁縫もするのが好きだった。
性格もしっかりしており、面倒見も良かった。

椿「つばめ、ははうえたちがかえるまで、いいこにまってなきゃだめなの」

燕「はーい」

椿「つばめ、いいこ、いいこ」

二人が3歳を迎えたその年、椿にも巫女修行する時がやって来た。
別れる際、泣いていた燕とは比べて、椿は我慢強かった。
燕を励ますだけで、泣こうとはしない。

椿「つばめ、ないちゃだめ。めっめ」

燕「だってぇ~~・・・」

椿「またあえるから」

燕「・・・うん」

桜「行くわよ、椿」

椿「はぁーい」

母親に連れられて、椿は巫女のいる神殿に訪れた。
小さい足で必死によちよち歩き、大きな階段を必死に昇る。
昇り切ると、母親の前に立ちはだかるのは石楠花だった。
桜に成り代わり、今は巫女長を務めている。
それ故、他の巫女達から恐れられていた。

桜「ああ、石楠花。久しぶり」

石楠花「桜か・・・懐かしい。所で今日は、何の用だ?」

桜「娘を巫女修行させる為に・・・あっ」

椿は石楠花の顔を見た瞬間、母の足に隠れて震えている。
少し怖いようだ。

椿「・・・」

桜「ちょっと怖がってるみたい・・・」

石楠花「3歳じゃ仕方ないか・・・。まぁいい・・・椿、こっちにおいで」

椿「・・・」

桜「椿、母上は10年後になったら迎えに来るから。・・・それまで、頑張るのですよ」

椿「はい・・・母上」

怯えながらも石楠花に手を引かれ、椿は神殿の中に連れて行かれた。
門をくぐると、自分と同い年くらいの女の子達が沢山いた。

椿「・・・みんな、みこさんになるためにしゅぎょーしてるの?」

石楠花「そう・・・。まぁ、途中で止めてしまった子もいるけど・・・お前はどうだ?」

椿「がんばってみます」

石楠花「ほぅ・・・。ならば、鉄扇を授ける儀式を設けよう。こっちに来なさい」

椿「は、はいっ」

椿が案内されたのは、広い小屋の中だ。
その小屋は儀式に使う時だけ、入れるようになっている。
その他の部外者は、入室禁止らしい。

石楠花「これよりお前は舞う巫として、此処へ10年と5ヶ月修行せねばならぬ。無事に修行を終え、見事試練を乗り越えたなら家族と再会する権利を与える。ただし、逢えるのはたった1日。その次の日は都の守り人・安倍四兄姉の修行が待っている。修行をする・しないは個人の自由だが、それ以上に強くなろうという事を望むなら両親と相談して修行を受けるがよい」

椿「はい」

石楠花「では、お前の武器になる鉄扇を授ける。小さいお前にはまだ重いだろうが、今後これを持って舞を舞うようにならなければならん」

椿「!!お、おもい~~・・・」

石楠花「百合、椿に舞を教えろ」

百合「はい、石楠花様」

百合という者は石楠花の認める舞を扱う芸者巫女。
椿からすれば、舞の先生だ。
他の子供達も、重そうな鉄扇を持って練習している。

百合「では、まずは舞をする前に鉄扇の持ち方を習います。左からゆっくり開き、手を切らないように・・・こう持って・・・」

子供「いたーい・・・」

百合「あらあらあら・・・大丈夫?!!」

子供「師匠さま~、つばきちゃんだけかってにまってます」

百合「えっ・・・?」

他の子は、鉄扇が重い所為で手や足を切ったりした。
所が椿は百合の真似を見事に移し、一人で勝手に舞いだした。
これには師匠も驚いた。

椿「・・・」

百合「・・・。椿ちゃん・・・」

椿「はぁい」

百合「先生以上に、舞がお上手なのね・・・誰から教えてもらったの?」

椿「ううん、だれもおしえてもらってません」

百合「そ・・・う・・・。(この子ひょっとしたら、すごい才能の持ち主なのかも・・・)」

そんな椿の行動に脅かされた日が、10年続いたという。


-----------------------弐、好敵手と友情

10年後、椿は見違えるほど舞が上手くなっていた。
他の子は5年や4年で修行を止めて、故郷に帰って行ったらしい。
今神殿に残っているのは椿と、もう一人の巫女・柘榴だった。
柘榴という娘は気が強く、いつも椿と仲が悪いと評判が悪いものの、舞の腕前は椿とは負けず劣らず。
そんな彼女は椿にとっては友達と思っているらしく、いつも話しかけている。

椿「柘榴ちゃんの舞はすごく素敵ですね」

柘榴「フンっ、当然じゃない。だってあたしは歌舞伎の家で育ったのよ?舞の一つや二つ、出来て当然。将来は安倍四兄姉の一員になるって決めてるんだから。あんたみたいな子に、負けないもの」

椿「柘榴ちゃんが頑張るなら、私も頑張る。次の試験は負けないです」

柘榴「!!あたしに宣戦布告するなんて、いい根性してるじゃない!いいわ、一発で負けさせてやる!!」

次の最終試験の日、柘榴は椿を負けさせるように仕向ける作戦を行った。
仕掛けた事は、椿の鉄扇に鉛を仕込んでいつもより重く舞わせる事だ。
案の定、椿はいつもより重い鉄扇で舞っていた為、舞う最中にフラつき出した。
柘榴の番が周ってきた瞬間、彼女は確信の笑みを零す。

椿「あれれっ・・・?鉄扇がいつもより重いよぉ~」

柘榴「何そのへたくそな舞~~!そんなんじゃ、とても巫女に務まらないんじゃなくって~?」

石楠花「(・・・)」

そして結果発表の瞬間が来た。
石楠花は、柘榴に合格とは言わず失格と伝えた。

柘榴「(ふふふっ、これであたしの勝ち決定ね)」

石楠花「・・・それでは先ず、試験の合格者を発表する。・・・上篠椿」

椿「わーい」

石楠花「そして失格者、綾小路柘榴」

柘榴「えっ・・・どうして・・・?」

石楠花「お前、自分が勝ちたい為にイカサマをしたであろう。それが仇となって逆に、不合格を招いた。舞の技術は確かに柘榴の方が勝っていたが、素での舞の美しさは椿の方が上だ。見ろ、椿の舞を・・・」

柘榴「あっ・・・」

鉛がついた鉄扇を持って、椿は更に繊細に舞い続けた。
その健気でたおやかに舞う椿の姿を見た柘榴は、初めて自分が何をしたのか後悔して泣き出した。

石楠花「椿は、ただ勝ちたいとは願わずに本心から巫女になりたいという願望を持ち続けてずっと修行を頑張っていた。それなのに、お前は何だ。イカサマをしてまで巫女になりたかったのか?」

柘榴「・・・。椿、ごめんね・・・」

椿「・・・!柘榴ちゃん、どうして泣くの?」

柘榴「あたし、ただアンタに勝ちたくて・・・ずっと意地悪してた・・・。それなのに、アンタは偉いよ。ずっと巫女になりたいから修行を頑張ってたなんて・・・。今まで邪魔して、ごめん・・・」

椿「・・・もういいよ」

柘榴「許して・・・くれるの・・・?こんなあたしを・・・」

椿「私と柘榴ちゃんは残っていた頃からずっと好敵手だったけど、今はもうお友達。お友達ですよ」

柘榴「お友達・・・」

椿「はい、ずっとお友達です」

柘榴「・・・ありがとう、椿」

試験終了後、椿と柘榴は石楠花から巫女修了証書を授与された。
そして二人に、別れの時が訪れる。

--------------------------参、それぞれの歩む道

巫女修行が終えた日、椿は5ヶ月間修行に励むと言って実家に帰らなかった。
同じ同期で残った柘榴は両親に頭を下げられながら、椿に必死に謝る。

柘榴の母「本当に、柘榴が意地悪してしまったみたいで・・・。ほらっ、貴方も謝るの!!ごめんなさいね椿ちゃん」

椿「おばさま、もういいです。私と柘榴ちゃん、お友達になりましたから・・・」

柘榴の母「そうなの柘榴?!」

柘榴「そうだって言ってるじゃない!!もうっ」

柘榴の母「本当?!もう意地悪しないって誓えるの?!」

柘榴「誓うって言ってるじゃん!いいから、母上はあっち行っててよ!!あたしは、椿と二人で話がしたいの!!」

柘榴の母「そう・・・じゃあ、向こうに行ってるわね」

母親が立ち去ると、柘榴は椿と話し始める。

柘榴「ふぅ~~・・・。あっ、渡したい物があるんだ!・・・これ」

椿「これなぁに?」

柘榴「あたしの一座の特等席の観覧券。しかも無期限!いつでも見に来ていいから」

椿「うん。でももし私が四兄姉の試験受かっちゃったら、もう見に来れないかも・・・」

柘榴「大丈夫!ずーーっと吉原でやってるから。ウチの一座は異動しないよ」

椿「じゃあ、私は四兄姉の道を歩みます。柘榴ちゃんは一座の家業を頑張って下さい」

柘榴「分かった・・・。その代わり、あたしが危なくなったら助けに来てよね?」

椿「はい」

柘榴「じゃあね・・・」

椿「お元気で・・・また逢いに行きます」

柘榴と別れた後、椿は安倍四兄姉の修行が始まる期間5ヶ月を利用し、誰とも面会することなく修行に励み、その5ヵ月後・・・四兄姉試験を受けに都へ出向いたという。


                             【椿編】終
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プロフィール

朧幻龍

Author:朧幻龍
京都に強い憧れを持つ大阪在住の変態女人絵師
蒼龍ファミリーと安倍四兄姉の生みの親

リアルとブログでは性格が真逆
映画GS美神の蘭丸に対して異常な性欲を抱く

好きなもの:にゃてんし、my創作キャラ、七人隊、蘭丸
信じるもの:自分の才能と絵の腕前、安倍晴明と織田信長の威光

秋山澪

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