朧気。 ~私が四兄姉に入った理由(わけ)~【帝編】

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~私が四兄姉に入った理由(わけ)~【帝編】 

これはあたしが、四兄姉に入る前のお話よ。
-----------------------壱、執着心の姫

帝は、隠れ里から離れた小さな村の城で育った。
両親二人に6歳の自分に対して9つ年上の姉の美影、部下の忍・風魔と家臣100人を従えている。
特に貧しくもなく裕福でもなく、城主は農民に信頼されるほど温厚な人物だ。
だが姉の美影が家を出た瞬間、帝が変わってしまったという。

美影「父上、母上。あたしもう大人だから、吉原で一人で稼いで裕福に暮らすね」

利晃「あっ、こら美影!!・・・はぁ~あ・・・これで残されたのは、帝だけか・・・」

千冬「帝、あなただけでもここの跡継になるのよ?いい?」

帝「・・・いいなぁ・・・姉ちゃん・・・」

家を出るという事に興味を持った帝は、今まで体術を習わなかった。
その日から毎日、風魔に体術を教わり始める。

帝「ふうまー、ふうまー」

風魔「はっ!お呼びでしょうか、姫様」

帝「あたしに、たいじゅつおせーて」

風魔「体術・・・でございますか?何故また突然・・・」

帝「いいでしょ、べつに~・・・。はやくおしえてよ」

風魔「かしこまりました。それではまず、身のこなしを早くする-------」

帝「そうじゃなくって!かべをおりたりのぼったり、はやくにげたりするじゅつ!!」

風魔「分かりました。まずは、この縄を使って壁を登る術を・・・このように・・・さぁ、やってみて下さい姫様」

帝「こうね?よいっ・・・しょ」

風魔「お見事・・・。次は降りる術です。敵に気付かれぬように、無言で降りる・・・」

帝「(あっ、意外と楽しい!!)」

風魔「お上手ですね」

帝「えっへっへっへ~」

風魔に体術を習い始めて2週間、帝の体術は瞬く間に猫のように素早くなった。
それもこれも、全て城を飛び出して独り立ちする為に覚えたものだ。
そして11歳になった日、遂に家出の決心をする。
屋敷の皆が寝静まった頃を見計らい、教わった体術を駆使して城を抜け出した。

帝「(さようなら、父上母上・・・。今日からあたしは、一人で生きていってみせる!姉ちゃんみたいに・・・)」

着物を質屋に売っては身形を整えて、ひたすら姉のいる女郎屋を目指した。
暫く歩いていくと、真新しくド派手で大きな遊郭が建っている。
店の名前を見ると、”美影女郎屋”とある。
お侍が行き交う道をすり抜けて、帝は店の裏口を叩く。

帝「こんばんわー!」

花魁①「はい?・・・アンタ誰だい」

帝「あの・・・美影の妹の帝です」

花魁①「ああ、美影様の妹さんか。ちょいと待ってておくれ、美影様を呼んで来るから」

数分後、煙管を持った美影が現れた。
妹を見るなり、懐かしむ。

花魁①「美影様、妹さんが来てらっしゃいますえ」

美影「帝が?・・・あっ、帝じゃないさ!」

帝「姉ちゃん、あのっ・・・あたし・・・」

美影「さてはあたしの真似して家出してきたってか?全く、アンタはお姉ちゃんっ子で困ったものなんだから・・・。父上達にはあたしから文で伝えるから、今は店の中に入りな」

店に入ると、そこは女の修羅場でもあった。
下の遊女は年上から虐められたり、無理矢理躯を売られようとしている娘もいる。
そんな女の地獄絵図の光景を見た後、帝は美影の部屋に住まわせて貰う事になった。

帝「・・・」

美影「・・・まず吉原は見ての通り、男女の裸の付合いの場所。あたしも散々此処で働かされた後、ようやく幸運を掴んで今の状態に至る。儲けは悪くないし、可愛い子もいれば帝と同い年の子も下働きで複数いる・・・。」

帝「・・・」

美影「どうする?暫く此処で面倒見てあげてもいいけど・・・」

帝「下働きでも、お金もらえるの?」

美影「オジさん達の酌するくらいだったら、小遣い程度にはなるかな。ああ、その分は貰ってていいから。あたしの店は基本、遊女達の稼いだお金を徴収しない。徴収したとしても、3分の一だから」

帝「・・・ここで少し、働いてみる」

美影「あっそう。逃げ出したい時はいつでも言っていいからね」

帝「ありがと、姉ちゃん」

その日から、帝と遊女達の生活が始まった。


------------------------弐、危険な花園

遊郭の生活初日。
帝は早起きをして、女郎達の朝食を作った。
人数が100人以上いる為、他の子も苦労している。
食事を渡し終えると、中には可愛がってくれる遊女からちょっとしたお小遣いが貰える時があった。
帝は人懐っこい性格だったので、特に虐められたりはしなかった。
だが、遊女になれない下っ端の女の子達にはしょっちゅう虐められていた。

遊女①「ああ、あなたが美影様の妹さん?可愛らしい顔してるのねぇ・・・」

遊女②「こっちにいらっしゃい、お小遣いあげる」

帝「あ、ありがとうございます」

少女①「・・・何さ、あの女・・・」

少女②「お姉様方に可愛がられちゃってさ・・・」

少女③「ちょっと虐めてやろうか」

少女①「ねぇ」

帝「ん?・・・きゃっ!!」

話しかけられた瞬間、帝は桶に入った水をかけられた。
少女達はからかう。

少女①「きゃははははっ!!こいつ、ずぶ濡れじゃん」

少女②「もっと水かけてやろうか」

帝「やめてっ!!!きゃあっ・・・!!!」

少女③「きゃっはっはっはっは!!」

遊女「アンタ達、何やってんのさ!」

少女①「・・・やっば!逃げるよ!!!」

散々水をかけた後、彼女達は逃走。
冷水をかけられた帝は全身びしょ濡れになり、遊女達に心配させられた。

遊女①「ったく、下っ端のガキのくせに・・・。大丈夫?帝ちゃん」

遊女②「大変!風邪ひいちゃうじゃない!!早く着替えて暖炉に温まりよ」

帝「・・・くしゅん」

帝は3日間風邪を引いて、治った途端また虐められた。
そんな状況にも負けず、帝は姉に虐められていることを報告せずに遊女達の世話を続けた。
お金がボチボチ溜まった頃、美影は帝にこんな事を言い出した。

美影「帝、ちょっとこっちにおいで」

帝「何?姉ちゃん」

美影「他の遊女から聞いたんだけど・・・あんた、虐められてたの?」

帝「まさか、そんな訳ない--------」

美影「だったら、その痣は何?!」

帝「・・・これはちょっと、ぶつけただけで・・・」

美影「嘘おっしゃい!虐められてるなら素直に虐められてるって、姉ちゃんに言いなさいよ!!どうして黙ってたの?!」

帝「・・・姉ちゃんや可愛がってくれてる遊女のお姉さん達に、迷惑かけたくなかったの・・・」

美影「・・・・・・」

帝を抱きしめた瞬間、美影は次にこんな事を口にした。


---------------------------参、恩返しの為に

美影「・・・悪い事は言わない。これ以上アンタを此処にいさせたら、また虐められる可能性がある。帝、アンタはもう此処で働かずに都へ行きな・・・。都へ行ってその体術を生かして、安倍四兄姉の試験を受けておいで」

帝「安倍四兄姉の・・・試験?」

美影「そう。一見して普通の子が集い、かの陰陽師・安倍晴明の元で修行して耐えた子だけがなれる裏稼業組織なの。そこへ行けば、もう城へは戻らなくてもいいし、虐められなくて済む」

帝「・・・本当?あたしを虐める人、いないの?」

美影「いない、いない。此処へいるより、ずっと気楽に暮らせるはずよ」

帝「・・・だったら、あたし其処へ行く。今まで姉ちゃんにいっぱい世話になったし、それに勝手に家を出てきた父上達にも迷惑かけたし・・・。」

美影「帝・・・」

帝「姉ちゃん、あたし都へ行って陰陽師になるわ。それに・・・女の陰陽師がいてもいいと思うのよ」

美影「・・・其処で、第二の人生を歩んでおいで。姉ちゃんはこの吉原の一角で、アンタが四兄姉になってからの仕事っぷりを屋根の城郭から拝見させてもらうわ」

帝「四兄姉になったら、ご祝儀ちょうだいね」

美影「ああいいさ!!金一封でも千両箱でも、何でも強請りなさい!!」

帝「明日、都に向けて出発するわ。だから今日だけ、泊めさせてね」

美影「・・・はいはい」

その日の夜、遊女達は帝を都へ送る会をやって盛り上り始めた。
帝を可愛がってくれた遊女達は、更に今まで以上のお小遣いを渡した。

遊女①「これ、ウチからの気持ち~。少ないけど受け取って」

遊女②「せっかく帝ちゃんを妹みたいに可愛がってたのに、明日旅立っちゃうなんて淋しい~~~!」

遊女③「いい女に磨きをかけたら、また此処へ来なさいよ?その時は調教してア・ゲ・ル」

帝「ありがとう、お姐さん方。陰陽師になって、時間が空いた時にまた遊びに来ます」

美影「さァーーーーーー、みんなで乾杯だーーーーーー!!」

全員「乾杯ーーーーーーーーーーーー!!」

散々飲みまくって皆が爆睡した後、こっそり店を抜け出した。
最後に彼女を見送ったのは、虐めっこ達だ。

少女①「・・・あたし達以上に綺麗になってたら、承知しないから!!」

少女②「アンタの部屋、いつでも開けっ放しにするからねーーー!?」

少女③「虐められそうになったら、迷わず仕返しすんのよーーー!!」

少女④「水ぶっかけたりして、ごめんねーーーーーー!!帝ーーーーーー!!」

全員「がんばれがんばれ帝!!!!」

帝「・・・ありがとーーーーー、あたし頑張るからーーーー!みんなに恩返し出来るように頑張るからーーーーーー!!」

みんなの期待を背負い、帝は都の隠れ里を目指して歩み出した。

    
                         【帝編】終
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プロフィール

朧幻龍

Author:朧幻龍
京都に強い憧れを持つ大阪在住の変態女人絵師
蒼龍ファミリーと安倍四兄姉の生みの親

リアルとブログでは性格が真逆
映画GS美神の蘭丸に対して異常な性欲を抱く

好きなもの:にゃてんし、my創作キャラ、七人隊、蘭丸
信じるもの:自分の才能と絵の腕前、安倍晴明と織田信長の威光

秋山澪

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